最高裁上告棄却・不受理についての抗議声明2010/10/05 10:05

最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は9月30日付で、私の上告・上告受理申立について棄却・不受理を決定しました。以下、抗議声明です。

裁判に対するこれまでの応援に深く感謝します。今後、闘いは新たなステージに入ります。10月22日の学園前宣伝行動と最高裁要請は予定通り行います。

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                                2010年10月4日

         地位確認等請求上告事件平成22年(オ)612号
          同上告受理申立事件平成22年(受)762号
         最高裁上告棄却・申立不受理に対する抗議声明

                                 上告人 衣川清子
                              上告人代理人弁護団


 最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は2010年9月30日、標記事件について上告棄却及び上告申立不受理を決定した。
 上告理由書、上告受理申立理由書、および9月10日付「大法廷への回付および口頭弁論開催を求める要請書」にて詳述したように、原判決は、公平な裁判を受ける権利を定めた憲法31・32条、学問の自由と大学の自治を保障した同23条、長期間放置した後の処分は無効とした最高裁判例等に反し、違法無効なものであった。これまでに提出した意見書(山村延郎拓殖大学准教授および牧柾名元東京大学教授執筆)はこれらの点を補強し、慎重な審理と公正な判決を強く求めるものであった。
 しかしながら第一小法廷はこれらをいっさい顧みることなく、また佐藤昭夫早稲田大学名誉教授・弁護士がすでに執筆し、来る10月22日に提出する予定であった意見書を待つことなく、上告からたった9ヶ月、9月10日の要請からわずか20日後に棄却の決定を行った。
 原判決に違法はないと認めた本決定は、①小規模な大学において、②任意の教員を「教員不適格」と名指しし、③問題にされたことのない過去の事例や事実でないことでも相当事由として挙げ、④普通解雇処分としさえすれば自由に解雇することも有効であると認定したに等しい。憲法に定められた学問の自由や大学の自治などは存在しないかのような決定である。このような先例ができた以上、今後は大学による教員解雇が頻発しかねない。このことは、身分を保障すべき大学教員への人権侵害を加速させ、日本の高等教育を混乱させ、何よりも次代を担う学生に重大な不利益をもたらすことになる。このような影響を及ぼしかねない本決定に我々は強く抗議するものである。
 また、現在、研究者であり、非常勤講師として大学と専門学校で教鞭をとる上告人は、今後も高等教育の充実・発展のために力を尽くし、とりわけ大学教員の権利侵害事件について研究を続け、司法の実態について警告・啓発活動に努めていく。「人格的な欠陥の持ち主」との原判決をそのまま認めた本決定に全人格をかけて抗議したい。
                                         以上

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